スウェーデンでとても愛され、 嫌われてもいる発酵した臭いニシンの珍味 「シュールストレミング」をご存知でしょうか。 欧州連合(EU)の規定では、ダイオキシン濃度が高いため バルト海で水揚げされる魚の販売が禁止されていましたが、 スウェーデンとフィンランドは特例で認められていました。 しかしその特例措置が2011年末が期限となっています。 そこで、この度、スウェーデンを訪問中の 欧州委員会の委員に、このシシンの珍味の救済を 同国が訴えたのだそうです。 シュールストレミングがスウェーデンの文化遺産 として重要であることを説明したそうですが 食して健康を害する可能性があればどうでしょうか? 臭い魚の珍味と言えば、 クサヤを思い出しますね。
シュールストレミングは、ニシンを塩漬けにして、 缶の中で発酵させた漬物の一種です。 その強烈な臭いから、「世界一臭い缶詰」などと 評されることもあります。 スウェーデン語で「シュール」は「酸っぱい」を、 「ストレミング」はバルト海の「ニシン」を意味します。 シュールストレミングは、春先の産卵期にある 最も良い状態のニシンを獲り、樽の中にニシンと 塩を交互に重ねて1か月から2か月漬け込みます。 そして、まだ発酵中のニシンを缶詰にして 殺菌しない状態のままフタをするため、 密封後も缶の中では発酵が継続するのです。 航空会社では、飛行中の気圧低下により シュールストレミングの缶が破裂し 周辺の荷物に悪臭が染み付くという被害を出す 恐れがあるとして、航空機内への持込みを禁じています。 現実的には船舶による冷蔵輸入以外、 合法的に輸入できないのだそうです。 その臭さは、魚が腐った臭い、 生ゴミを直射日光の下で数日間放置したような臭い ともいわれていて、臭気は、くさやの6倍以上だそうです。 一方、「くさや」は 開いた新鮮な魚(ムロアジ、トビウオ、シイラなど)を、 「くさや液」と呼ばれる浸け汁に8~20時間ほど浸け込んだ後、 真水で洗浄し、天日に1-2日ほど干します。 発酵食品の一種とされる場合もあるが、 発酵しているのは魚ではなく、くさや液です。 くさや液は、茶褐色の粘り気のある液体で 長年にわたって染み出してきた魚の成分を出汁として使うため、 熟成までには相当の年月がかかります。 中には400年近く使っているものもあるのだとか。 くさや液の製法は各店の秘伝として、代々受け継がれていて、 匂いや味は店ごとにも差があります。 伊豆諸島の一般家庭でも、代々くさや汁を受け継ぎ、 家庭でくさやを作っている家もあり、昔は嫁入り道具の 一つとなっていたそうです。 また、ビタミン、アミノ酸などが非常に豊富に含まれていて、 抗菌作用もあるため、体に良いとされており、 かつて伊豆諸島では、怪我をしたり体調を崩すたびに、 薬代わりとしてくさや液を患部に塗布したり、 飲ませたりしていたということです。 くさや