ベルギーのブリュッセルで開催中の
「エリザベート王妃国際音楽コンクールの作曲部門で、
大阪府池田市出身の酒井健治さん(34)が
「バイオリンとオーケストラのための協奏曲」で
グランプリを受賞しました。
日本人の作曲部門でのグランプリ受賞は、
1977年の藤掛広幸氏、西村朗氏以来35年ぶり。
酒井さんには賞金1万ユーロ(約100万円)が
授与されるほか、作品は同コンクールの
バイオリン部門で最終選考に残った
12人の奏者の課題曲となります。
酒井さんは77年生まれ。京都市立芸術大を卒業し、
フランス国立パリ高等音楽院、
ジュネーブ音楽院で学びました。
2009年に武満徹作曲賞で第1位を獲得。
現在はパリ在住です。
エリザベート王妃国際音楽コンクールは、
ショパン国際ピアノコンクール、
チャイコフスキー国際コンクールと並ぶ
世界三大コンクールの一つです。
作曲部門のほかピアノ、バイオリン、声楽の
各部門があります。
エリザベート王妃国際音楽コンクールは、
1951年、ベルギー青少年音楽院の創設者
ルネ・ニコリが提唱し、ベルギー王妃エリザベート
(アルベール1世の王妃)の名を冠して創設されました。
前身は、ウジェーヌ・イザイの名を冠した
イザイ国際コンクールでした。
イザイ(1858年7月16日~1931年5月12日)は、
ベルギーのヴァイオリン奏者、作曲家、指揮者です。
エリザベート王妃(1876年7月25日~1965年11月23日)は、
オーストリア皇后エリーザベトの姪であり、
彼女の名前を取って名付けられました。
1900年に後のアルベール1世と結婚し、
レオポルド3世(ベルギー王)、フランドル伯シャルル、
マリー=ジョゼ(イタリア国王ウンベルト2世妃)の
2男1女をもうけました。
1940年から1944年まで、ナチス・ドイツ占領下にあった
ベルギーで、エリザベートは自身のドイツとのつながりと
影響力を巧みに使い、ナチスに捕らわれた
ユダヤ系の子供たち約100人を強制収容所送りから
救いました。
ベルギーは、中世から近世にかけては
何度も支配する大国が変わり、
1815年からのオランダ支配の時代に独立の革命が起こり、
1839年に独立を果たしました。
ベルギーは人口1000万人強の小さな国ですが、
21世紀の今、国内での言語と文化をめぐる対立と
イスラム系住民の融合問題で
危機に直面していると言われています。
音楽では民族を超えて分かり合える事が出来るのに
言語や宗教の問題は複雑ですね。
ベルギー出身の音楽家で
世界的伝説のジャズギタリスト、
ジャンゴ・ラインハルトがいます。
ロマの旅芸人(ジプシー)の一座で育ち、
若くして天賦の才能を見せていましたが、
18歳のときに火事に遭い、左手の薬指と小指の2本が
動かなくなるというギタリストにとって
致命的な怪我をしてしまいました。
しかし、ジャンゴは努力を重ね、
人差し指と中指だけの独得な運指で流麗なソロを
弾けるようになり、自分の個性的なギター・スタイルを
発展させて世界的に名を知られる音楽家となりました。
ジャンゴ・ラインハルト
★☆ちょっと一言 ☆★
諦めずに、何か方法を見つけ出して行く。
その結果、喜びを手にする事が出来る。
その過程では、辛く苦しい事も
もちろんあると思います。
辛く苦しい事は、あって当然なのです。
でも、「無理だ」と諦めてしまえば
それ以上何もうみ出す事が出来なくなるのです。
ジャンゴが麻痺した指で素晴らしい
ギターの音色を生み出したように、
努力を積み重ねる事で
きっと、どこかに希望の光を
見付ける事が出来るのではないかと
思います。