米ニューヨークのイタリア文化会館で
オペラ歌手マリア・カラスの
ステージ衣装や私服、宝飾品などを展示する
展覧会が行われています。
展示品は、1977年にカラスが53歳で死去したあと、
カルチュラル・アソシエーション・マリア・カラス
のブルーノ・トシ会長がオークションで
購入していったカラスの所持品です。
展示品の中には、1965年にオペラ「トスカ」で
カラスが着用したドレスや、
56年と58年にニューヨークで上演された
「椿姫」でヴィオレッタを演じたカラスが着た
ドレス2点などがあります。
これらの衣装は、体重108キロだったカラスが
演出家ルキノ・ヴィスコンティの要望によって
40キロ減量した1953年以降のものだそうです。
トシ会長は、2012年にオープン予定の
カラスの名前を拝したベネチアの美術館に
このコレクションを寄贈する予定です。
減量前のマリア・カラス
マリア・カラス(1923年12月2日~1977年9月16日)は、
20世紀最高のソプラノ歌手と言われています。
マリア・カラスはギリシャ系移民の子として
アメリカのニューヨークで生まれました。
ギリシャのアテネ音楽院で学び
1938年アテナイ王立歌劇場でデビューしました。
カラスの特に傑出した点は、
そのテクニックに裏打ちされた
並外れて優れた歌唱と
心理描写と演技によって、
通俗的な存在だったオペラの登場人物に
血肉を与えた事だそうです。
必ずしも美声とはいえない
持ち前の個性的な声質をすら武器にして、
ありきたりな役どころにまで
強い存在感を表わしました。
彼女の声の絶頂期は10年ほどに過ぎませんでした。
長期間の訓練に裏付けられて安定していた
彼女の声は、不摂生なプライベート生活や、
難役を歌い続け声を酷使した為に
急速に失われてしまいました。
1973年と1974年に来日し、
ピアノ伴奏によるリサイタルのツアーが行われ、
札幌の北海道厚生年金会館での公演が、
彼女の生涯における最後の公式な舞台となりました。
カラスは、1977年9月16日ひっそりと
暮らしていたパリの自宅にて
53歳の若さで短い生涯を閉じました。
死因は心臓発作と言われていますが、
毒殺説もあるそうです。
遺灰はズ墓地に一旦は埋葬されましたが、
生前の希望により1979年に
ギリシャ沖のエーゲ海に散骨されました。
マリア・カラス